2020/10/30 07:00
みなさん、こんにちは。ビューティーフード研究家の室谷真由美です。
最近、「プラントベース」という言葉を良く耳にするようになりました。プラントベース(Plant Based)は、健康のために、療養のために、植物性のものを積極的に摂取するという考え方です。プラントベースダイエットなど、植物性のものを食べることで健康になるという手法のひとつ、ということになるでしょうか。
健康的な生活を手にすることができ、栄養豊富な献立を取り入れることもできる。さらに、地球環境にもやさしい。この理論のもとで提唱されているのがプラントベースです。
ヴィーガン同様、イギリスで生まれた考え方ですが、日本でも企業が積極的に取り入れ始めました。基本的な食事の考え方はヴィーガンと同じですが、ヴィーガンの場合は食生活に限らず、動物性のものを身につけません。プラントベースは食生活のことをお伝えしているものなので、そこが違いと言えるでしょうか。
いずれにしても、植物性のお食事が基盤となるということは、素晴らしいことですね。
プラントベースは皮ごと、丸ごと食べることを推奨しているので、無農薬野菜を選ぶようにすること。丸ごと食べるという点では穀類も全粒のもの、玄米や全粒粉を選択すること。豆類、ナッツ類からタンパク質を摂取することをおすすめしています。
皮ごと、丸ごと食べて一番良いことは、その植物の栄養を逃すことなく取り入れることができるということです。植物には酵素が豊富に含まれていますから、それらの酵素のはたらきを存分に取り入れたいという点でも、プラントベースの考え方は素晴らしい。
そして、プラントベースの食生活をするために、今最も注目されているのが、大豆ミートを始めとする、肉の代わりになる加工食品です。
肉のような食感で、肉よりもカロリーや脂質が低いという利点もあります。肉を食べているような満足感を得ながら、ダイエットをすることができるということで、菜食主義の人でなくても人気が出ている食品です。
日本ももちろんのこと、プラントベースでつくられている肉は、アジア圏で需要が伸びているとか。既に1兆円以上の市場規模があり、年々増加傾向にあって、中国国内だけでなく、海外企業も進出を模索していると聞きました。
私もアメリカのロサンゼルスに行ったときに出会った「Beyond Meat」も、そのひとつですね。完成度が高くて美味しかった! 日本でも売ってほしいと思いますが、中国では既に販売開始になったようですね。うらやましい!
他にも、中国のスタバは、そのBeyond Meatの製品を使ってパスタやラップサンドなどが加わったそうですし、ケンタッキーでは大豆や小麦、エンドウ豆からつくったプラントベース肉のチキンナゲットが発売開始。今やアメリカの市場規模の約2倍にもなっているというので、中国の勢いはすごいな、とつくづく思いました。
シーフードの代替食品の研究開発も進んでいるということで、養殖が原因の自然環境への影響ということも鑑みると、より一層、代替食品への関心は高まると思います。
代替食品は、日本だと大豆ミートが主流です。乾燥食品で日持ちもしますし、栄養価も高いため、災害用に買い貯めて置くのもおススメ。実際、コロナ禍の自粛期間中、長期保存できる食材としてストックされることが増えたようです。
マルコメ、伊藤ハムといった大手の食品会社も肉の代替食品としてプラントベースの肉を販売していますよね。商品数も、普通のスーパーで購入できるプラントベース肉が、以前に比べて随分増えてきました。
大豆ミートの場合、大豆のにおいが課題になることがありますが、ショウガやニンニクなどの薬味で味付けをすればそれほど気になりません。歯ごたえは肉のようで、栄養価も高い。肉には決してない食物繊維が豊富である点も、腸内環境改善が望まれる今、ポイントの高い要素だと思います。
健康のためにプラントベースを選択した結果、海を汚染するような養殖を減らしたり、メタンガスを排出することで知られる酪農を減らしたりすることができるのではないか……そう考えたときに、プラントベースを選ぶ若い人も、増えている。
中にはベジタリアンになろう、ヴィーガンになろうという人もいるのでしょうが、そうでなかったとしても、10代や20代の人たちは、意識的に肉を食べる機会を減らすようにしている人が多いといいます。口にするものへの意識も、高まってきているようです。そうしたニーズに合わせて、食品会社の意識も変化しつつある、ということでしょうか。
プラントベースが食の基盤となる日は、もうすぐそこまで来ています。
(Photo by
Mayumi Muroya/KARUNA co.ltd.,/ APS
from Photo AC)