2020/11/06 00:00
スペシャルトーク「私をもっと好きになる心地良いオーガニックライフ」(前編)
▲市井紗耶香さん
【プロフィール】
1998年モーニング娘。第2期メンバーとして加入。『第40回日本レコード大賞』最優秀新人賞受賞、『第49回NHK紅白歌合戦』初出場。ユニットとなるプッチモニを結成し、デビュー曲『ちょこっとLOVE』は115万枚のミリオンセラーとなる。卒業後、結婚と出産を経て芸能活動を再開。女優としても2012年に公開された日本映画『明日に架ける愛』で映画初主演。第24回東京国際映画祭特別上映作品でグリーンカーペットデビューを果たし、日中友好40周年記念作品として中国でもロングラン上映となった。同時に中国での活動も増え、TGC東京だけでなく、TGC上海でモデルとしても出演。中国最大規模のSNS『微博』では日本人として異例のフォロワー数2万人を超えている。6年勤めた雑誌『saita』の連載では 自身が発信するナチュラルオーガニックライフが 好評となり、同世代の女性や母親にナチュラルオーガニックブームをつくった。プライベートでは4人の子どもの母。趣味のアウトドアを生かし、実生活でも家族でミニマムナチュラルオーガニックライフを楽しんでいる。
室谷:今日は「まゆみの部屋」(笑)に、市井紗耶香さんをお招きいたしました。
市井:よろしくお願いします(笑)。
室谷:よろしくお願いします。今日は、これからの形の、「新しいオーガニックライフ」というテーマで、紗耶香ちゃんとトークをしたいと思います。いつも会うとそんな話をしているんだけどね。
市井:真由美さんとは一か月に何回会っているかな、というくらい濃密な時間を過ごさせてもらっています。実は私、今年の3月、真由美さんが主宰されているセミナーに講師としてお話しする予定だったんですよね。そこでオーガニックライフをテーマに講演するつもりだったんですけど、世界中が大変な状況になってしまったので、ちょっと落ち着いてからと言っているうちに時間が経ってしまって。それで今回、真由美さんにお声がけいただいたんですよね。ありがとうございます。
室谷:そう、そうなの。どうしてもやりたくてね。オンラインで開催するという話もあったんだけど、オンラインではなかなか難しいとも感じていて。でも、ちょうどいい機会が出来たので、お声がけしました。
市井:そうですね、オンラインも便利だし、どこでも出来るので、とても便利だと思いますが、やはり食のお話しとか、ライフスタイルのお話しは、直接お会いしてお伝えしたいと思います。
室谷:そうだよねぇ。では、早速伺いますが、紗耶香ちゃんがオーガニックライフに興味を持ったきかっけを教えてください。
市井:オーガニックに興味持ち始めたのは、もう10年ちょっと前かな? 長女がもう16歳なんですけど、その娘が生まれてから雑誌の連載が始まったんですね。その連載のテーマがオーガニックライフで、そこで出会ったオーガニックコスメがきっかけでした。いわゆる「自然の引き寄せ」ということで、私が10代の頃からずっとお世話になっているヘアメイクさんが、そこのオーガニックブランドの、日本での立ち上げに参加されていたんですよ。
室谷:すごいねぇ!
市井:そうなんですよ。連載が始まった同時期に、そのヘアメイクさんから、ブランドの立ち上げに関わっているということで、そのオーガニックコスメのお試しを頼まれて。とても大好きな、奄美出身のヘアメイクさんで、その方が言うなら間違いないと思って、アイシャドウとかを試させてもらったんですね。そうしたら、粉飛びもせず、肌にものすごくフィットするし、発色も良くて、女の子がすごくワクワクする感じがあったんです。そこ、結構大事じゃないですか。
室谷:大事、めちゃくちゃ大事。
市井:そこにまず惚れこんだのがきっかけでしたから、もちろんオーガニックっていう定義は後付けで知ったんですけど、オーガニックコスメって、こんなにオシャレな物がたくさんあるんだっていうことに気がついて。
室谷:そうだねぇ、オーガニックっていうと、地味なイメージあったよね。
市井:そう、オーガニックって何だろうみたいな。もう少し年齢を重ねて行ってから手に取る物なのかなぁ、とか。とにかく未知の世界だったんですよね。
室谷:確かに。
市井:そのコスメを試して、見た目もかわいいし、発色もとにかくよくて、肌も楽で、使っている素材も安心安全のものだと教えてもらったんですね。そこからそのコスメにハマっていったら、また「引き寄せ」があって、一か月後ぐらいに、そのコスメの会社と対談するというお話をいただいて。
室谷:へぇ~、一か月後に?
市井:そうなんですよ。不思議なもので。
室谷:ないないない、普通ない。
市井:こんなに偶然って重なるんだなって思いました。今も、そのブランドさんとはとても仲良くしていただいています。
室谷:そうだったんだぁ。
市井:自分の中で息つく間もなく、色んなものの忙しさに追われてしまうことってありますよね。オーガニックって、ゆるやかなライフスタイルというか、追われて過ごす重い感じをふっと軽くしてくれるような魔法があって、それがオーガニックの魅力かなと思っています。10年ちょっと前に始めたライフスタイルですけど、今では私の血肉になっています。どなたかそんなようなことをおっしゃった女優さんがいらっしゃいましたよね(笑)。
室谷:そうなんだね。私の中には「モーニング娘。」時代の紗耶香ちゃんがまだ残っているから、きらびやかな世界で生きてきた人が自然派のオーガニックスタイルに移行するって、不思議というか、いい意味でのギャップがある。
市井:そうですね、アイドル時代はその時代の時にしか味わえない目まぐるしさの中にも充実したものがあって、当時のマネージャーさんから一年が四年に感じるよって言われました。とにかく本当に忙しい中、経験したことのない事を味わわせてもらったので、それが今の私の糧となっているのは間違いありません。くじけそうになった時も、その時代に培ったハングリー精神と、もともと備わっている好奇心で乗り切れる。当時は、今以上にオーガニックのような考え方が、日本ではほとんど浸透はしてなかったというのもありますし、私もあまりに時間がなくて家に帰れないこともあったので、ホテル生活でコンビニのおにぎりを食べるとか、本当にひどい食生活でした。食事は、とにかくとりあえず体力をつけるために食べ物を流し込む。まだ14、5歳でしたし、食の大切さなんて全然考えず、知識も全くなかった。それほどまでに忙しい時間を駆け抜けたことは、ひとつの自分の人生の中で、大切な時間として残っています。結婚して長女が生まれたのが21歳のときで、自分自身にとってかけがえのない、何が何でも守りたい存在が生まれてきてくれたことで、食事とか美容とか、生き方とかを考える時間が出来たのかなと思います。ちなみに真由美さんがオーガニックに出会ったのは、どういうきっかけでした?
室谷:私? そうねぇ。私はもともと、ものすごいジャンクフード漬けの生活だったし、お菓子も大好きだったし、オーガニックとはほど遠い生活していたの。もう11年経つんだよね、ヴィーガンライフを始めてから。きっかけは11年前に、ピンクリボンのイメージモデルのお話をいただいたこと。女性の健康とかライフスタイルを考えるというテーマがあって。どういう形で情報発信するかというテーマをいただいたときに、お食事からアプローチしようと思ったんだけど、食に関する知識なんて何も持っていなくて。それだと語る側の人間として説得力がないので、やっぱり資格が欲しいと思ったのね。それで食に関する資格を慌てて探したら、マクロビオティックの資格講座に出逢って。その講習会で、テキストの1ページ目に「あなたの身体は食べたものでできている」と書いてあって、衝撃を受けたわけですよ。そんな当たり前のことにも気づいていなかったから。本当にお菓子しか食べていなかったから。
市井:今の真由美さんからは全然、考えられないですよね。
室谷:うん、考えられない。食生活がひどかったの。モデルとして、とにかく痩せていればいいというか、太っちゃいけないというか。
市井:それって、職業的に求められた時代もあったかもしれないですよね。こういうヴィジュアルでいてほしいとか、髪の毛はこの色でいてほしいとか、今だったらあり得ないことですけど、20年くらい前はヴィジュアルイメージが資本だった。もちろん身体が資本というところもありますが、どちらかというとヴィジュアルで見られて、イメージを保たなければならないというプレッシャーがどこかあったのかもしれないですよね。
室谷:そう、見かけだけ何とかなっていればいい、内側はどうでもいいみたいに思っていたからねぇ。私は35歳で気づいたからねぇ。
市井:今の私の年齢ですよ(笑)。
室谷:だから遅かったと思うけど、それでもその時点で気づいて、救われた。仕事できっかけをいただいて、そこで気づいて、本当に180度ガラッと方向転換したから。新しい自分の進む道だと思ったし、食べてみて美味しいし、楽しいし。だから10年以上も続いている。
市井:始めてから11年というお話しでしたけど、マクロビからヴィーガンへ食の転換をされてから「チョコレート食べたい」とか、今まで食べてきた「あれ食べたい」とか、禁断症状みたいなのはありしましたか? ウナギとか?(笑)
室谷:それがなかったんだよねぇ。
市井:えーっ! 不思議! 不思議!
室谷:すごいでしょ、自分でも不思議だもん。あれだけ色んなものを食べていたのに、何で食べたくならないんだろうって
(笑)。昔を知っている人からすると、あんなに食べていた真由美が!?って思うみたい。自分でもびっくりなんだけど、禁断症状が出ない仕組みも、体が楽になっていくメカニズムも、勉強して理解しているのね。だから体でも頭でも実感できている感じ。本当にバランスがとれた食事をし始めたら、無駄なものを一切欲しがらなくなるということを体感した。だからそういう素晴らしいことや楽しいこと、身体にも良くて環境にも良いとか、動物にもやさしいとか、自分が知った素晴らしい世界を、みんなに体験してもらいたい、気づいてもらいたいって思ったねぇ。
市井:へぇ、すごい! 11年経っても、日々更新し続けてるということが、私は本当にすごいなと思います。
室谷:楽しいし、美味しいからだと思う。じゃないと続けられないと思うし。
市井:すごいですよね。今の時代だからこそ、環境とかオーガニックとか、安心安全について世の中の人たちがみんな気づき始めていて、それぞれがそれぞれで出来ることから始めようって行動されている方って、たくさんいらっしゃると思うんですけど、それは真由美さんから見られてどう感じられますか?
室谷:とても良いことだと思う。できることから始めてほしい。私はヴィーガンだけど、どうしてもストイックに見られるし、そうじゃないといけないと思われがち。でも全然、強要したくないし、自由に好きなものを食べてもらいたいのね。ただ、今食べているもの、選んでいるものによって不調を感じているのなら、選択肢を持っていた方が良いとは思っていて。そのために知識は必要。私がヴィーガンを選んで体感してきたように。
市井:無理なく続けるっていうのが一番大切なのかなという気がしますね。
室谷:そうね。
市井:私も真由美さんと出会ってもう二年ちょっとになりますけど、真由美さんと出会ったことでヴィーガンという世界を知って、楽しく美味しく、こんなに満足できる食事だから、ついたくさん食べちゃいます。「うわぁッ、めっちゃお腹いっぱい」と思うんだけど、そのお腹いっぱいがとても幸せ。
室谷:うん、幸せそう。
市井:食べていて罪悪感がないって、こういうことなんだっていうのは、真由美さんと一緒に食事をしていて毎回感じることで、毎回ハッピーになるんですよね。真由美さんがその幸せを提供してくれていて、だからといって強要されることはないんですよ。それは私にとって、むちゃくちゃ心地よくて。「あぁ、やっぱり続けられるってこういうことだな」って。実は昨日も、ソイミートのそぼろ丼にしました。
室谷:そうだったんだ。
市井:週に何日か、お肉を食べない日を決めて。でも、絶対じゃなくて、無理なくなんですよね。
室谷:そうだよね。
市井:今、余すことなく食材を使おうというのを、自分のテーマにしていて。増やし過ぎはよくないからということで、今、家にある食材には季節のお野菜を取り揃えていますけど、そのやり方だとメニューが似通ってしまうんですね。でも、食品ロスとか環境とかを考えるのであれば、むしろ喜んで食べようというマインドに変えて。真由美さんがおっしゃってくれたように、心と食事のバランスって、すごく通じていると感じるようになりました。
室谷:私がみんなに実践してほしいと思うスタイルでやってくれているから、紗耶香ちゃんの取り組み方を聞くのは、とても嬉しい。無理なくできることで、でも楽しみながら、美味しさも感じながら。
市井:実はオーガニックライフとかヴィーガンとか、知れば知るほど、簡単なんですよね、料理工程が。こんなに楽なんだって思った。
室谷:そう、みんな難しいとか出来ないイメージ持っているけど。楽なんだよねぇ。
市井:とても簡単でした。
室谷:でしょ。
市井:これをやっているついでにこの水で戻しておくとか、同じ工程で出来るし、火を通さなくていいとか。すっごい楽。火もそんなに使わないから、お母さんとしてはすごく楽ですね。特に夏場。暑い中、火を使うのは……。
室谷:確かに。キッチンは暑くて地獄。そうだよね。料理するときにあまり火を使わないから楽だよね。今、よく「時短」と言われるけど、取り入れてもらいたいよね。
市井:本当だったら3月とか4月とかにお話しする予定だったオーガニックライフのお話しができて、とても嬉しいです。
室谷:これは実現させねば!って思っていたからね。
市井:どこかでこのHPを見てくださって、読んでくださった方が、少しでもヴィーガンを広めたいとか、ちょっとヴィーガン料理を試してみたいと思ってくれる方が増えたら、嬉しい。
室谷:そうだねぇ。4人もお子さんがいてね、紗耶香ちゃんがこういうライフスタイルを送っているけど、子どもたちの反応ってどんな感じ?
市井:子ども…そうですねぇ、上の子2人は野菜がとにかく好きなんですよ。
室谷:いい子だよねぇ。
市井:不思議と野菜が好きで。だから私がヴィーガンライフの食事を提供しても、何の文句も言わず、普通に美味しく食べています。唐揚げにしてもぜんぜん全く気にも留めないというか。何の抵抗もないんですよ。だからそのまま、下の子たちもそれを刷り込ませています(笑)。
室谷:これ美味しいよね、みたいな(笑)。
市井:そう、美味しい美味しいってよく食べてくれるので、全然、苦じゃないですね、私の場合は。でも、子どもが野菜嫌いで食べてくれなくて、ご苦労されているお母さま方もたくさんいらっしゃるでしょうから、本当に美味しい食材をどう目利きしているか、みたいなのも、このサイトで真由美さんが教えてくれたら、めちゃくちゃ嬉しいです。どこそこ野菜が好きで取り寄せているとか、ヴィーガンだったらこのお出汁がいいとか、味噌がいいとか。代用しているものとか。私も知りたいので、そういう情報発信の場がめっちゃ欲しいです。
室谷:そうだね。毎日つくるからね、食べるものは。
市井:そう、これで本当に代用出来るし、胃腸にも負担かけずに、環境にもこれだけ配慮されているんだよ、全部まわっているんだよ、ということを、もっと知りたい。私は真由美さん発信の情報が、今すぐにでも欲しいと思います。
室谷:ありがとうございます。このサイトで、これから少しずつ、情報提供していきますね。
(発行:株式会社AIS/撮影:永澤 伶門/編集・津田 容直/コーディネート:若林ゆかり)