2020/11/09 07:00
ぬか漬け、食べていますか? ご自分でぬか床、つくっていますか?
私事で恐縮ですが、私はつくっておりません。本当は、手間暇かけたぬか漬けと、自家製の味噌を使った味噌汁と、炊き立てのご飯があれば、十分に一食分、楽しめると思うのですが……毎日かき混ぜなければならないという義務感に苛まれてしまって、断念しました。
商店街を歩いていると、ときどき、八百屋さんで自家製ぬか漬けを売っていることがありますが、それを見かけるとつい買ってしまいます。ひと口にぬか漬けといっても、家ごとに入れるものも違いますし、味噌といっしょで発酵の仕方も違いますから、当然味も違いますよね。だから食べ比べをしてしまうのが、ぬか漬け、というわけです。
いろいろな味を楽しめる方がお得、ということで、自作のぬか床はつくらないことに。
ぬかは玄米を精米したときに出る部分ですが、実はこのぬかにこそ、栄養がたっぷり。精米した白米は、ほとんどが糖質ですが、ぬかにはビタミンB群やミネラル、繊維質が豊富に含まれています。また、フィチン酸やフェルラ酸(ともに抗酸化作用に優れる)、植物ステロール(免疫力向上等に有益とされる)といった栄養素も含まれるため、捨ててしまうのはあまりにモッタイナイ食材です。
このぬかに、塩やトウガラシ、ユズの皮、山椒の実、野菜の切れ端等を入れて、寝かせて乳酸発酵をさせたものが、ぬか床です。キュウリやニンジン、大根等がポピュラーでしょうか。魚や肉等もぬか漬けにして焼くという調理法がありますね。アボカドや豆腐も美味しいです。
古漬けになって酸味が出たものは、ピクルスの代わりにタルタルソースにするのもアリ。揚げ物と一緒に食べると、サッパリして美味しいです。
ぬか漬けの力がとてつもないと思ったのは、フグの卵巣のぬか漬け。フグの卵巣は猛毒ですから、そのまま食べるなどということはもちろんのこと、触った手を舐めただけでも大変な騒ぎになるだろう代物です。それがぬか漬けによって無毒化するというのですから、驚き!
何故無毒化するのかは、まだ科学的に解明されていないそうですが、塩、微生物、乳酸発酵にその秘密があるのではないかという仮説が出ているそうです。
ぬかのぬいたぬか漬けは、洗ってからいただきます。洗わずそのまま食べる人もいるようですが、口当たりを考えると、粕漬と違ってちょっとザラザラする感じ。食べられないわけではありませんが、美味しくいただくには、洗った方がよさそうです。
毎日ぬか漬けが難しいようでも、発酵食品は毎日食べるのが基本。八百屋さんを見かけたら、ぜひ、ぬか漬けがあるかどうか聞いてみてくださいね。
(文・Natuo Yoshida/画・kscz58ynk by Photo AC)