2020/11/13 07:00
スペシャルトーク「私をもっと好きになる心地良いオーガニックライフ」(後編)
▲市井紗耶香さん
【プロフィール】
1998年モーニング娘。第2期メンバーとして加入。『第40回日本レコード大賞』最優秀新人賞受賞、『第49回NHK紅白歌合戦』初出場。ユニットとなるプッチモニを結成し、デビュー曲『ちょこっとLOVE』は115万枚のミリオンセラーとなる。卒業後、結婚と出産を経て芸能活動を再開。女優としても2012年に公開された日本映画『明日に架ける愛』で映画初主演。第24回東京国際映画祭特別上映作品でグリーンカーペットデビューを果たし、日中友好40周年記念作品として中国でもロングラン上映となった。同時に中国での活動も増え、TGC東京だけでなく、TGC上海でモデルとしても出演。中国最大規模のSNS『微博』では日本人として異例のフォロワー数2万人を超えている。6年勤めた雑誌『saita』の連載では 自身が発信するナチュラルオーガニックライフが 好評となり、同世代の女性や母親にナチュラルオーガニックブームをつくった。プライベートでは4人の子どもの母。趣味のアウトドアを生かし、実生活でも家族でミニマムナチュラルオーガニックライフを楽しんでいる。
室谷:この前に聞いたけど、オーガニックとか無農薬とか、もともと旦那さんの方が好きだったんでしょ? それがすごいと思って。
市井:そうですね。地球環境のところをすごく考えている人です。私と一緒で自分が行きたいと思ったらすぐ行っちゃう。農業とか無農薬、自然栽培に結びついて、山形の高畠城というところで田植えする、みたいにしているうちに、いろいろと感銘を受けてきたみたいです。そんな話から、私も食事をつくる立場で考えたり、インスピレーションが湧いたりして、たとえばかまどと土鍋でご飯を炊いたりとか、なるべく電子レンジも控えてみたりとか。地産地消というか、季節のお野菜でも運ばれてくる経路とか、鮮度とか、色んな知識はありますけど、スーパーでそういうのを見るのも楽しい。
室谷:あぁ、そうだよねぇ。産地とか本格的ですねぇ。
市井:そう、だから楽しいですよねぇ。一つひとつ知るようになると、野菜ひとつ選ぶにしても、お米ひとつ選ぶにしても、スーパーで自分自身がこう何を選択していくということで、生き方がちょっとゆっくりになるというか。でもそのゆっくりの時間がすごく愛おしい。無駄なものを買わなくなるんですよねぇ。全部生かされているんだなって感じます。
室谷:そう思う。私の場合はヴィーガンっていうくくりがあるけれども、だから迷わなくて済む。それまでは「ごはん食べに行こう」という話になったら「どこの店にする?」という話になって。そうしたら色んなジャンルがあって、いっぱいお店があって、何食べようと迷っていたけど、今は選択肢をたくさん持つ必要がなくなった。シンプルに「オーガニック」で「ヴィーガン」なものを選ぶから、迷わないし、必ず安心安全で、美味しく楽しく過ごせる。シンプルな生き方になってくると、環境がシンプルになるよね、そもそもが。突き進めるっていうのがすごい楽だなぁって思ったし。
市井:エコロジーですよね。食がシンプルになることで、環境がシンプルになるという、巡り巡って循環している感じ、すごい素敵。
室谷:私にそれが出来るとも思ってなかったけどね、前はね、ひどい食生活だったから。
市井:それが全然想像が出来ないんですよ。かつて真由美さんがスタバで働かれていたとか、本当に?みたいな。
室谷:あぁ、そうそうそう。本当。
室谷:お菓子は大好きだったからねぇ。
市井:お菓子でワクワクしていたんですか(笑)。その時はまだヴィーガンではなかったんですか?
室谷:全然ない、全然ない。ほど遠い。オーガニックとかヴィーガンとか、微塵も知らなかったし。
市井:ヴィーガンになる前、お菓子を食べまくるとかジャンクな生活を送っていて、体調に変化はなかったんですか?
室谷:今思えば体調は悪かったのかな。花粉症とか、冷え性とか、生理不順とか、細々と身体の不調抱えていた。でもその原因とか治し方とかは知らなかったんだよね。知ろうともしていなかったし。マクロビオティックに出逢って玄米、お野菜の生活にしていったら、メキメキそれらの体調不良が改善されるわけだよね。本当にすごいなぁと思って。それまではね、不調を感じたら病院へ行ってお医者さんに相談してお薬もらって、みたいな生活していたけど、食べ物で全部身体が整うんだっていう体感をしたから。食べ物の大切さを、身をもって実感したんだよね。
市井:いっぺんに切り替えようって決意するまでって、戸惑いとか、私はいっぺんにやると結構疲れちゃったりとか諦めちゃったりとかしちゃうタイプなので、まだそこまでは行きつけないんですけど、その決意をしたっていうのがすごいなって思います。
室谷:環境ってあると思うんだよねぇ。紗耶香ちゃんの場合は家族がたくさんいるから。私は当時一人だったからさ、身軽で。環境はいつでも変えられるから、もう今までの生活全部捨てて。冷蔵庫に入っていたいろんな調味料も全部捨てて、一からキレイにやり直し!みたいな感じ。本当にガラッと変えたんだよね。
市井:すごーい! すごい!
室谷:何だろね。ハマるタイプ、多分。突き進むタイプで、これ!って思ったらとりあえず行動起こしてみるっていうのが自分のスタイルだから。長い付き合いの友だちが言っていたんだけど、昔、冷蔵庫には必ずウナギのタレが入っていたらしいのよ。自分でも覚えてないけど(笑)。昔の好物がウナギだったの。好きな食べ物書く欄あるでしょ、プロフィールとかに。そこにウナギって書いていたの。
市井:想像できないですね! ウナギのタレが好きだったんですか!? 相当ジャンクじゃないですか!(笑)
室谷:あれでご飯何杯でもイケるみたいな感じで(笑)。冷蔵庫にいっぱい入っていたらしいんだけど、全然覚えていない(笑)。食事もお菓子だけとかあるとかで。しょっちゅうだった。パンにハマったら、ずっとパン食べるし(笑)。
市井:ハマっちゃうんでしょうね。そのハマった先っていうのが、マクロビオティックっていう。
室谷:ハマっちゃうタイプだと思う、多分。何か追究したいタイプだと思う。行きついちゃったんだよね、そこに。もうこれ以上ないなと思って。何だろうね、極めたいだけなんだけど。
市井:マクロビオティックのごはんって、私もその真由美さんと出逢う前に行きつけのマクロビのお店があって、そこがすごくなんかほっこりできる場所だったんですよ。
室谷:いいよねぇ。
市井:育児とか仕事とかで目まぐるしいと、時間がものすごく大切なので、それこそ流し込むように、どれだけ時短で食べられるかみたいなところに追われていた自分もいたんですね。でも、そのお店に行くときだけは、時間がとてもゆったり流れていて、携帯を見るんじゃなくて、ちょっと本を読みながらご飯が出来て運ばれてくるまでの音を楽しむとか。本当にとても素敵な場所だったんですよ。残念ながら閉店してしまったんですけど。そこもね、最後の最後、真由美さんと一緒に行けましたね。真由美さんと出逢う前から、私にはそのお店が心と身体を許せる場所だったんです。そういえば、真由美さんとちょっと車で遠出しましたよね。また行きたいなと思っているんですけど。良いところでしたよねぇ。
室谷:よかったよねぇ。
市井:マクロビオティックは結構、私の身体の中に根づいているみたいで。お店へ行くと小鉢で色んなものが出ますけど、我が家の食卓にも出るようになりました(笑)。
室谷:あぁ、いいねぇ、いいねぇ。
市井:あ、このメニューいただきました(笑)。
室谷:これ参考にいたします、みたいなね。
市井:そうそうそう、結局何かこう自宅の我が家の中で出てくるレシピって結構適当につくることも多いんですけど、でもそれでも子どもたちすごく満足して食べてくれるんで。中々ね、給食だったりとかお付き合いがあったりとかで、完全にそっちには振り切れないですけど、せめてと思って調味料にこだわっていて。その味の根となる部分が身体にしみ込んでいれば、大人になって忙殺されるような時間の中にあっても「お母さん、この調味料使っていたな」とか、こういうのを食べたときに「あぁ、ほっこりするなぁ」とか、そういうところに戻ってきてくれたら、それでいいかなと。
室谷:安心だよねぇ。大事大事。
市井:調味料に関するエンゲル係数はめちゃくちゃ高いけど、でもまぁライフスタイルとして、それが自分の中で心地いい選択なんだというところにも行きついたので、気づけて良かったなぁと思います。
室谷:まさに紗耶香ちゃんのそういうライフスタイルを、いろんな人に真似してもらいたい。
市井:だからといって、決して今までの自分とか、今まで選択してきたものを否定するとか、そういうことではないんですよ。
室谷:うん、ないよね。
市井:その経験があったからこそ、今の自分にすごく生かされていて、とっても心地良い選択ができる、心地良いライフスタイルが送れているので、過去の自分、今まで携わってくれた人たちに、いつも感謝の気持ちでいっぱいですね。自分の性格も生き方も、食に生かされているなぁ、循環されているなぁというのを感じます。食に目覚めた人、すっごくたくさんいると思うんですよ。だから全部が振り切れなくても、週に一回はオーガニックやヴィーガンといった料理を楽しんだり、少しコンビニのごはんを控えてみたり、冷凍食品変えてみたり、最初のステップがゆるやかに長く続いて、その積み重ねが少しずつ大きなものになって行けばいいと思うんですよね。
室谷:そうだよね、ゆるやかにね。自然に変わっていくのが一番の理想だと思う。
市井:だから一人暮らしの方が変わるきっかけにもなるでしょうし、お子さんがいらっしゃるご家庭でも、気づいた方は実践されているでしょうし。一つひとつでいいんですよね。
室谷:本当にそう思う。調味料を変えるだけでもね、本当に変わるから。
市井:不思議ですよね、全然味違いますもん。味醂とか、ごま油とか、「あぁ、こういうものなのね」みたいなね。
室谷:やっぱり美味しい方をね、自然に選ぶよね。
市井:選びますねぇ。そっちを選ぶようになっちゃいましたね、スーパー行くにしても。教えていただいたヴィーガンキムチ、私たち、教えていただいてからどハマりですから(笑)。あれから普通に買って帰りますから。絶対買いますから。で、今日も買って帰る(笑)。あれ、めっちゃ美味しい!
室谷:どハマりですから(笑)。あれ、美味しいよねぇ。なかなかないよねぇ。
市井:こんな美味しいキムチあるんだって。そこまで辛くもないし、旨味があって、めっちゃ美味しい。私、あれでアボカド丼にしました。
室谷:そう好き、大好き。納豆とキムチで、最高よ、ご馳走よ。好きなもの全部乗せたみたいな(笑)。お腹空いたね(笑)。
市井:お腹空いてきましたね(笑)。これからの真由美さんが思うヴィーガン、未来というか、こうなって欲しいなぁみたいな願いはありますか?
室谷:願いはですねぇ、まず学校給食とかね、子どもたちにオーガニックとか、もちろんヴィーガンとかもね、選択肢として給食に入ることが私の願い。未来を担う子どもたちだからこそ、ちゃんとしたものを食べてもらいたいし、ね。変えていくっていうのは難しいかもしれないけど、そこを何とかしていきたい。
市井:学校給食は、確かにそうですねぇ。みんなが同じ食事を取らなくても良いという選択もあってほしいと思います。幼少期の食事は大切だから、親である私たちが与えるというところで言うと、もっとやさしさとか愛情とかが食べるものに現れたら、とても素敵だと思うので。全部が全部じゃなくていいけれども、それがいつか叶ったら、こんな素敵なことはないですよね。オーガニックの食材を子どもたちに提供する仕組みのひとつとして。
室谷:いいよねぇ。せめて選ぶことができるようになったらと思います。みんなに個性があるようにね、選べたら絶対いいよ。今はアレルギーの子も多いし、多様性を認め合うという点でも必要。
市井:大事ですよね。私も子どもがいるので、多種多様を受け入れていこうという時代に、お互いに認め合ったり、選べたりするような社会になってほしいと思います。食を通じて変われるんだったら、変わっていってほしいと思いますよね。
室谷:いいよねぇ。それが意外と近道の気がするんだよね。ちょっと食事に意識を向けることで、いろんなことを変えていく早道、近道のような気がする。
市井:私は、胃腸を落ち着かせることで心も落ち着かせて鎮めることに繋がると信じていて、だから食べ過ぎているときは心が落ち着かないと思う。今はいろんなものがあふれ過ぎているから、少し減らせば、もっと世の中が循環していくと思うんですよね。その少し減らすという選択は、誰もが今すぐ行動できると思うから。
室谷:そういうことだね、きっと。紗耶香ちゃんが伝えたいメッセージ。
市井:そうですね、減らす。私も減らしていきたい。自分自身が取り過ぎちゃうときもあるし、いろんな情報がある今、世の中が複雑過ぎて、その環境下でちょっと疲れるときがある。そういうときは「あ、いろんなものを取り過ぎているな」と思うんですよね。食に関してだけじゃなくて、いろんなものを取り過ぎちゃうと、必ず身体に悪影響が出ちゃうので、いろんなものを少し「デトックス」することがとても大切だと思います。来年に向けて、そういうこともできれば。
室谷:いやぁ、それは私も本当に真似したいことだと思う。あっという間でしたね。改めて、貴重なお話をありがとうございました。またゼヒ。
市井:はい、お疲れ様でした、ありがとうございました。
▲たっぷり語りあったあと、ヴィーガンのお食事を楽しみました。パスタランチ(左)と、ハンバーガーのプレート(右)。
※「GENTLE」のヴィーガンメニューは2020年8月をもって終了しました。
(発行:株式会社AIS/撮影:永澤
伶門/編集:津田 容直/コーディネート:若林ゆかり)