2020/11/15 07:00
お茶の起源は、紀元前2700年ころの中国が発祥とされています。このころ、お茶は薬膳の一種で、解毒剤として利用されていたそうです。「健康のために」というお茶の在り方は、今も昔も変わらないようです。
緑茶が日本に伝わってきたのは、1300年ほど前のこと。奈良時代や平安時代の留学僧が、中国からお茶の種子を持ち帰って育て始めたのが、日本でのお茶の歴史の始まりとされています。
「日本後記」(815年)では、「嵯峨天皇に大僧都・永忠(だいぞうず・えいちゅう)が近江の梵釈寺において茶を煎じて奉った」と記されており、これが日本での日本茶の喫茶に関する最初の記述といわれています。
これに続いて禅僧である栄西の「喫茶用上記」は、日本の喫茶文化に多大な影響を及ぼしたと言われる書物で、鎌倉時代末期に流行した「闘茶」によって茶寄り合いなどが盛んになります。闘茶とは、武士階級に浸透した遊びで、お茶の味を飲み分けて勝敗を競うというものでした。この流れが、茶の湯が急速に広まった理由といわれています。
その後、戦国時代に入ると、千利休を始めとする茶人により、新しいお茶の礼式がつくられ、「侘茶」として大成したことにより、「茶道」として今日まで受け継がれるお茶の歴史となりました。
緑茶は健康に良いというイメージがあります。実際、健康に良いのは確かなのです。緑茶にはカテキン、テアニン、ビタミン、ミネラル等が含まれています。
カテキンには抗菌作用や殺菌作用があり、さらに脂肪を燃焼して、燃焼した脂肪を体外に排出してくれるので、コレステロールを減らすはたらきが期待されるということです。それだけではありません。
なんと!
美肌効果もあるのです。
カテキンには活性酸素を減らすはたらきがあると言われており、老化防止にも効果が期待できるとされています。また、食後3時間以内に緑茶を飲むと、小腸がコレステロールを吸収するのを抑制するともいわれています。食後や15時のティータイムは、医学的にも理にかなっているのですね。
ちなみに緑茶にはカフェインが持つ覚醒効果とビタミンCによるアセトアルデヒド分解能力により、二日酔い予防にも効果的だといわれています。鎌倉時代の歴史書「吾妻鏡」によれば、先述の栄西が二日酔いに苦しむ鎌倉幕府三代将軍の源実朝にお茶をすすめたところ、実朝の気分が爽快になったとか。
煎茶という形で一般庶民にもお茶親しまれるようになったのは、江戸中期ごろといわれています。抹茶を楽しんでいた上流階級に対し、当時は粗末とされた煎茶を一般庶民が飲みました。しかし、永谷宗円が「青製煎茶製法」を考案したことで、高品質の色や香り、味を出す煎茶として世に認められるようになりました。
江戸末期までは山間部で栽培されていた茶葉ですが、明治になると平野部でも栽培されるようになり、現在、北は青森から南は沖縄まで、広く栽培されています。煎茶は産地によって味が違うのはもちろんのこと、お茶の種類やお湯の温度、その日の気温等によっても味が変わるところに面白みを感じます。
(文・キコ/画・きぬさら by Photo AC)