2020/11/21 07:00
「オーガニック」とは、どういうことなのか、正確に答えられる人は存在するでしょうか。
もともとは「有機の」という形容詞ですが、大きな枠組みでは「有機栽培」で育てられた食品、あるいは育て方である「有機農業」ということで捉えられることが多いようです。
一般的には、化学肥料や化学農薬を使わないこと、遺伝子(DNA)組換技術を使わないこと、可能な限り自然のままに農作物を栽培することが、オーガニックの基本とされています。私たちが安心して食べることのできる野菜を育てながら、虫や鳥、獣と共存できる里山を守るということが可能な農業ということになるでしょうか。
大枠ではそのような意味合いですが、これを認定するような基準ということになると、さまざまな基準が存在しています。たとえば日本なら、農林水産省主導による「有機JAS」「有機農産物及び特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」。極力使わないというよりは、ここまでなら化学肥料や農薬を使っても良い、という判断基準になっているようです。アメリカでは農務省がその認定を行っており、日本よりも厳しい基準が設けられているとのこと。つまり、日本ではオーガニック認定の食品も、他の国や他の基準では、そうではない判定となるということになります。
オーガニックという言葉が世に出回り始めた背景には、生産性ばかり追って人の身体に影響が出る、環境に影響が出るという栽培法は止めよう、というところに端を発しているわけですが、その基準がさまざまであるというところで、結局は消費者が何を基準にどう選ぶかというところが求められます。
難しく考えなければ、より自然な状態で育てた、自然に近い食べ物、ということでしょうか。
こうして言葉に書き起こしてみると、当たり前のことに用に思えます。オーガニックが「自然に近い状態でつくられたもの」だとするならば、オーガニックでないものは、どうとらえたら良いのか……このことも、ちゃんと考え直してみる必要がありそうです。さまざまな基準があるなかで、自分はどの基準で何を選ぶのかということは、これからの時代に必要な視線であると考えます。そのためには、さまざまな知識をしっかりと入れて、取捨選択していく必要があるでしょう。
それは、食の問題に限ったことではないかもしれません。
それにしてもつくづく、ヨコモジというのは下手に導入すると、意味がぼんやりして一人歩きするものだと思いました。それぞれの都合に合わせた意味合いで使われているように感じられてなりません。近年流行しつつある「プラントベース」にも、同じことが言えそうですが……そのお話は、いずれまた、どこかで。
とにかく、これからの時代はオーガニック、ですよ(何のことやら)。
(文・オダ ツナヨシ/画・ by Photo AC)