2020/11/24 07:00
小豆は、我々日本人にとって、大豆と並んで大切な食品だ。縄文遺跡からも発見されているというし、古事記や日本書紀にも五穀として登場している。紀元前1世紀から栽培をしていた中国から伝播したものとされてきた日本の小豆は、近年、遺伝子上、独自の系統で進化してきたのではないかとされているそうだ。
大豆に比べて小さいので小豆と書くようになったとか、赤を表す「あ」と早くやわらかくなるという意味の「つき」「ずき」で「あずき」と呼ばれるようになったとか、煮崩れしやすいことから崩れやすいところを指す「あず」「あづ」が転じたとか、その名の由来は所説ある。方言では小豆を「しょうず」と呼ぶところも、ある。
古代中国ではその煮汁が解毒剤と使われていたため、日本でも薬として用いられていた小豆。その赤い色は太陽、火、血を連想させ、「生命」を象徴するものとして捉えられたため、魔除けのような役割があるとされてきた食材でもある。
近年の研究では、ポリフェノールを多く含む食材としても知られている。含まれる量は、ポリフェノールの代表格である赤ワインやチョコレートといったアンチエイジング食材を凌ぐという。
何しろ入っている種類も豊富だ。
カテキン、ルチン、シアニジン、アントシアニン、レスベラトロール、イソフラボン等、抗酸化物質であるポリフェノールの宝庫だといえるだろう。新陳代謝のアップや冷え症改善、美白や美肌、更年期障害の軽減等、さまざまな老化防止に役立つといわれている。
また、ダイエットやむくみ改善等にも役立つとされるサポニンという物質が含まれる。腸内環境改善に良い食物繊維もある。
小豆は老化を防ぎたいと願う人には、非常にありがたい食材といえるだろう。
だからといって、白砂糖を多く含むあんこを大量に摂取することは控えたい。砂糖は肌等を劣化させるといわれているからだ。小豆は赤飯等、料理に取り入れていきたい食材である。もちろん、あんこやお汁粉を食すべからずというのではない。過剰摂取を避けたいということで、ご理解いただきたい。
小豆の煮汁もすべていただくためには、ぜんざいもおススメの調理方だからだ。
味付きの小豆は苦手という人は、煮出した煮汁をお茶の代わりに飲んでも良いだろう。かつての日本人はそうして漢方のように利用してきたわけだし、その方が赤ワインを飲んでアンチエイジングというよりも、健康的にポリフェノールを摂取できそうだ。
(文・灘尾
剛/画・keisuke3 by Photo AC)